ネズミの心臓

書肆バベル跡地

自己紹介に代えて

自己紹介か書評を、とお題を頂いたが、どちらもどうにも上手く書けそうにないので、少し昔の話をしようと思う。


「ネズミの心臓」というのは、私が高校生時代に運営していたメンヘラサイトの名前である。

当時はまだメンヘラサイトが隆盛だった。私と同い年、或いは少し年下、年上の女の子たちが、ブログに死にたいと綴り、リスカ画像をアップロードしていた。

そんな中、私がサイトに載せていたのは自作の短歌である。何故短歌だったのか。

多くの女の子たちが、具体的なエピソードとそれに付随する感情(学校でいじめられていて苦しいとか、好きな人と喧嘩して悲しいとか)をブログに書いていたのに対し、私は語るべきエピソードを持たなかったのだ。私の中には、理由を説明することができない苦痛だけがあった。

そんな訳で、延々「苦しい」「死にたい」とだけ呟き続けるのも芸が無いなあと思った私は、思い浮かんだ言葉を繋げて短歌を作り始めた。

どんなものだったか、もう具体的には思い出せないが、剥製、映写機、エーテル等々、厨ニ病臭い単語が並んでいた気がする。

今考えれば、作品の巧拙はともかくとして、苦しみを自己表現という形に上手く昇華していたと言えるかもしれない。

短歌を詠むのは、サイトを閉鎖した時に辞めてしまった。

私はきっともう二度と、短歌を作ることはしないし、できないだろう。